大阪高等裁判所 昭和43年(ネ)279号 決定 1968年3月29日
控訴人 栗本興業株式会社
被控訴人 新井商事株式会社
主文
本件を大阪地方裁判所に移送する。
理由
控訴人は大阪地方裁判所が同庁昭和四二年(手ワ)第三、八四四号約束手形金請求事件についてなした被控訴人の請求を認容する旨の手形判決に対し控訴を申立てたものであるが、手形訴訟の本案判決に対する不服申立としては、異議の申立が認められ、控訴は許されていないので本件は不適法といわねばならない。
しかして控訴人の申立は不服申立の方法を誤つているとはいえ、その意図は手形判決に対し不服を申立てることにあることは明らかであり、之を異議申立と解しても、それはむしろ控訴人の意思に合致するものと認むべきであり、異議申立によつて本件訴訟は手形判決をした裁判所に依然係属しているものであるから、かゝる場合審級の管轄違の場合と同様に管轄裁判所に移送するのが相当である。
仍て民事訴訟法第三〇条により本件を大阪地方裁判所に移送することゝし主文の通り決定する。
(裁判官 岡野幸之助 宮本勝美 菊地博)